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株式会社レベルファイブ

1 行サマリー

国内中堅ゲームデベロッパー(従業員300名・非上場・福岡本社)。イナズマイレブン・妖怪ウォッチ・レイトン教授で多言語フルボイスゲームを量産し、仮ボイス用途に VOICEVOX を公式採用済みの TTS 乗り換え候補。

事業構造と TTS 需要

レベルファイブは福岡本社・東京・大阪の3拠点体制で家庭用ゲームソフト(Nintendo Switch / PlayStation / PC / モバイル)の企画・制作・販売を行う独立系デベロッパーである。設立 1998年10月、代表 日野晃博、資本金1億円。主要 IP と直近動向は以下のとおり。

IP プラットフォーム 対応言語 直近動向
イナズマイレブン 英雄たちのヴィクトリーロード Switch / PS5 / PS4 / Xbox / Steam 日・英・仏・伊・独・西・ポ(伯)・中(繁・簡) 2025年11月発売。発売延期理由が「音声収録・多言語翻訳」と公式発表
レイトン教授と蒸気の新世界 Switch 2 / PS5 / Steam 日・英・仏・伊・独・西・韓・中(繁・簡) 2026年末ワールドワイド同時発売予定
妖怪ウォッチ ぷにぷに iOS / Android 日本語主体 継続運営中、新ストーリー追加
ファンタジーライフ i スマホ版 iOS / Android 日・英・他 2026年夏配信予定
イナズマイレブン クロス iOS / Android 日・英 2026年新作スマートフォン向け
スナックワールド リローデッド 未発表 未発表 LEVEL5 VISION 2026 で発表

TTS 需要として想定される用途:

  1. 仮ボイス大量生成(最重要):各タイトルはフルボイスが標準。イナズマイレブン「英雄たちのヴィクトリーロード」では 250名以上の声優・5万本超のセリフが収録されており、開発中の QA・映像・シナリオ確認用の仮ボイス需要は数万ファイル規模に達する。現在 VOICEVOX を採用しているが日本語専用。
  2. 多言語仮ボイス(最大差別化点):同社は 9言語以上の翻訳・音声対応を行っており、英語・仏語・独語・中国語・韓国語の仮ボイスを高品質・低コストで生成するニーズが存在する。VOICEVOX では対応不可であり、piper-plus(多言語 OSS)または次世代 TTS(zero-shot 多言語)が直接の解決策となる。
  3. ゼロショット・キャラクターボイストーン確認:新 IP 開発段階でキャスティング前にキャラクターの声のトーン・方向性を確認するデモ音声生成(ゼロショット voice cloning)。
  4. NPC 動的ボイス生成(将来 PoC):イナズマイレブンの街 NPC や妖怪等、膨大なキャラクターが登場するゲームでの動的会話音声生成。Unity / UE 向け SDK がセットになる提案が有効。

現在の TTS 状況

確認済み情報:

  • 2023年12月、政府の「AI 時代の知的財産権検討会」でレベルファイブは AI 活用事例として「VOICEVOX でセリフの入力リストを読み込み、音声データを即時生成して仮ボイス作業を効率化」と明言した(出典:AUTOMATON WEST 2023年12月報道)。
  • 同社は Stable Diffusion(背景・キャラクターイラスト)、ChatGPT(キャラクター設定・クエスト案・会話データ)、GitHub Copilot(コード生成)も導入済みで、生成 AI 全般への姿勢は業界内でも積極的部類に入る。
  • 日野晃博社長は 2025年4月の TGCA 入学式で「プログラムの 8〜9 割は AI が書く。アートや音楽・プランニング領域でも AI は大々的に侵食している」と発言。
  • イナズマイレブン「英雄たちのヴィクトリーロード」は「コンテンツボリュームが想定以上となった影響で、音声収録や多言語翻訳に時間を要している」として 2025年に発売延期を複数回行っており、音声・多言語工程がボトルネックであることを公式に認めている。

置き換え障壁:

  • VOICEVOX はゼロコストで動作しており、有償ソリューションへの移行には品質・速度・多言語の明確な優位性の証明が必要。
  • フルボイスゲームのため本番音声は引き続き声優収録が基本方針と推定される。TTS の本番採用には声優・権利者との政治的調整が伴う。
  • 内製 AI ワークフローの整備が進んでおり、独自 TTS モデルを内製開発するリスクも存在する。

購買仮説

なぜ買いそうか:

レベルファイブは生成 AI ツールへの採用意欲が高く、意思決定スピードは中堅デベロッパーとしては速い部類に入る。VOICEVOX 採用という事実は「TTS を業務フローに組み込む意欲がある」証拠であり、乗り換え候補として有力。

最大の購買動機は 「VOICEVOX が日本語専用であるため、多言語仮ボイス工程が手作業(翻訳ベンダー+海外スタジオ収録)に頼らざるを得ず、コストと納期が課題になっている」 点である。イナズマイレブンの延期理由が公式に「音声収録と多言語翻訳」とされた事実が、このペインポイントを裏付ける。

想定決裁者:

  • サウンドディレクター / MA スタッフ(現場レベルの一次接触先。採用ページで東京オフィス勤務者が常時募集中)
  • ローカライズコーディネーター(多言語音声の手配業務を担当。課題感の最も高い部門)
  • プロデューサー / 技術部長(予算承認者)

予算サイクル:

非上場のため公開情報なし。ゲーム開発プロジェクト単位での PoC 予算(数十万〜数百万円)が現実的。3月・9月末に合わせた予算消化サイクルへのアプローチが有効と推定される(※当方推定)。

推定 PoC 予算: 100万〜500万円(仮ボイス生成ツール導入・多言語 PoC として妥当な範囲。※当方推定)

アプローチ戦略

pitch_product: next-gen(次世代 TTS 優先。piper-plus を入口として活用も可)

VOICEVOX の日本語専用という制約を起点に、次世代 TTS(zero-shot / 多言語 / 高品質)の優位性を訴求する。piper-plus は OSS として VOICEVOX からの移行ハードルが低く、まず無償デモで信頼を獲得し、次世代 TTS の有償 PoC に引き上げる 2ステップが有効。

フェーズ案:

  1. Phase 1 – 課題共有(CEDEC / CEDEC+KYUSHU / TGS 後の業界人脈):「VOICEVOX 多言語版」という課題設定で共感を得る。英語・仏語・中国語の仮ボイスをリアルタイム生成するデモを持参。
  2. Phase 2 – 無償 PoC(2〜4週間):イナズマイレブンや妖怪ウォッチの英語版開発チームに対して、ゼロショットで日英仏中4言語の仮ボイスを生成するパイプラインデモを提供。比較対象は既存 VOICEVOX + 手動翻訳ベンダーフロー。
  3. Phase 3 – 契約:プロジェクト単位の API 利用契約(月額 or 本数従量)、年間 100万〜500万円規模。
  4. Phase 4 – 拡張:ゲーム内 NPC 動的音声生成(Unity / UE SDK)の PoC 提案で ARR 拡大。

提案文面キーフレーズ案:

  • 「VOICEVOX で実現している仮ボイスワークフローを英語・フランス語・中国語にも拡張できます」
  • 「ゼロショット合成でキャスティング前のキャラクターボイストーン確認が可能になります」
  • 「音声収録・多言語翻訳のリードタイム短縮で、次回作の発売延期リスクを低減できます」
  • 「ローカル / クラウド両対応で、既存の音声合成パイプラインにそのまま組み込めます」

接触部門: 東京オフィス(サウンド・MA スタッフ・ローカライズコーディネーター)を優先、または福岡本社(CEDEC+KYUSHU 経由)。

関連プロダクト・採用事例

確認済み AI ツール導入:

ツール 用途 確認方法
VOICEVOX 仮ボイス生成(日本語) 政府 AI 検討会での公式発表(2023年12月)
Stable Diffusion 背景・キャラクターイラスト生成 AUTOMATON WEST 報道(2023年12月)
ChatGPT キャラクター設定・クエスト案・会話データ生成 同上
GitHub Copilot コード生成支援(8〜9割のコードをAIが生成) ファミ通報道(2025年5月)

サウンド体制(採用ページ確認):

  • 音響監督(東京オフィス):MAミキサー経験者を常時採用中
  • MAスタッフ(東京オフィス):テレビ・劇場版アニメのミキシング担当
  • サウンドクリエイター(福岡本社):BGM・SE 制作担当

ローカライズ体制(採用ページ確認):

  • ローカライズコーディネーター:海外ボイス収録作業サポート、多言語テキスト翻訳・LQA を担当
  • ゲーム翻訳者:英・仏・伊・独・西・ポルトガル(伯)・中国語(繁・簡)・韓国語に対応する専門職を募集中

技術スタック(推定):

Nintendo Switch / PS5 / PC / iOS / Android のマルチプラットフォーム対応から Unity または自社エンジン(C++ベース)が有力と推定される(※当方推定)。Unreal Engine 4 は二ノ国 Cross Worlds(外部共同開発)で使用実績があるが、レベルファイブ本体の主力開発エンジンは確認できていない。

直近イベント:

  • LEVEL5 VISION 2026「匠」(2026年4月10日 オンライン):レイトン新作、スナックワールドリローデッド、ファンタジーライフ i スマホ版、イナズマイレブン クロス等を発表。複数タイトルが同時進行中。
  • TGS 2025(2025年9月):レイトン・イナズマイレブン・ファンタジーライフ i の試遊を出展。

リスク・注意点

  1. VOICEVOX からの移行コスト意識:現行ツールがゼロコストで機能しているため、有償ツールへの移行には明確な ROI 説明が必須。「無料 OSS(piper-plus)で試し → 有償 次世代 TTS に切り替え」という段階的提案で心理的抵抗を下げる必要がある。
  2. 内製化リスク:AI 活用への積極姿勢から、将来的に独自 TTS モデルを内製開発する可能性がある。日野社長の「ゲームプログラムの 8〜9 割を AI が書く」発言は技術投資意欲の高さを示すが、同時に外部 SaaS 依存を避ける方向にも作用しうる。
  3. 非上場・財務非開示:予算規模や意思決定プロセスが外部から見えにくい。担当者レベルの信頼構築から始めるアカウント戦略が必要。
  4. 声優・権利者関係への配慮:声優や版権者との関係上、本番音声への TTS 採用は政治的ハードルが高い。日野社長は「AI は人が作品を作るためのツール」と声明を出しており(2025年12月)、声優排除型の提案は強い反発を招く。仮ボイス・プロトタイプ用途に限定した切り口が現実的
  5. 競合:CoeFont、Voicepeak(AHS)、COEIROINK、NTT テクノクロス FutureVoice 等の日本語 TTS ベンダーが同様のアプローチを行っている可能性がある。多言語・zero-shot・ローカル動作の組み合わせで差別化する必要がある。
  6. 北米子会社撤退歴:Level-5 Abby(サンタモニカ)が 2020年10月に販売不振で閉鎖。海外展開の意思決定が保守的になっている可能性があり、「海外向け TTS でコスト削減」という訴求が響きにくい場面もありうる。

連絡先候補

種別 情報 URL
公式問い合わせ 「その他のお問い合わせ」フォーム(ビジネス提案可) https://secure.level5.co.jp/inquiry/com/index.php
採用ページ(ローカライズ・MA スタッフ) 課題感の高い担当職への間接アプローチ起点 https://www.level5.co.jp/recruit/career/
CEDEC 毎年8月開催。サウンド・AI セッション後に名刺交換 https://cedec.cesa.or.jp/
CEDEC+KYUSHU 福岡開催。レベルファイブ本社と同地域。アクセス良好 https://cedec-kyushu.jp/
TGS(東京ゲームショウ) 毎年9〜10月、幕張メッセ。レベルファイブは例年出展 https://tgs.cesa.or.jp/
X(旧 Twitter) @LEVEL5_times(公式アカウント。技術・採用情報モニタリング用) https://x.com/LEVEL5_times

uPiper との位置関係

レベルファイブは「仮ボイス用途で TTS を業務フローに組み込んでいるが、日本語専用の OSS に留まっており、多言語仮ボイス工程が手作業ボトルネックとなっている」段階にある。uPiper(piper-plus / 次世代 TTS)は以下のポジションで競合優位を主張できる。

  • vs VOICEVOX:多言語対応・ゼロショット・高品質の3点でスペック上明確に優位。置き換えではなく「VOICEVOX の多言語版」として提案できる。
  • 導入ハードル低減:piper-plus は OSS であり、現在の VOICEVOX ユーザーにとって移行の心理的コストが低い。
  • 将来拡張:ゲーム内 NPC 動的音声生成(Unity / UE SDK)という成長ストーリーをセットで提示でき、ARR 拡大シナリオが描きやすい。

結論:仮ボイス多言語化ニーズへの PoC 提案を入口に、中期的に次世代 TTS の本番採用(NPC ボイス生成等)へエスカレーションする2ステップ戦略が有効。ピッチの起点は「VOICEVOX の多言語版が欲しいですか?」という課題共感から始めるべき。