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株式会社Cygames

1 行サマリー

CyberAgent子会社の大手ゲーム開発会社(年商1,375億円・営業利益331億円、2025年9月期)で、ウマ娘英語版の世界的大ヒットにより海外売上6倍増を記録し、多言語音声AI需要が急顕在化。AI専門子会社Cygames AI Studioを2026年1月に設立しTTS・音声AI領域への投資も加速中。

事業構造と TTS 需要

主力サービス・タイトル

Cygamesは2011年CyberAgent子会社として設立された日本最大級のゲーム開発会社のひとつ。主力タイトルは以下の通り。

  • ウマ娘 プリティーダービー(Unity製モバイル・Steam、2025年6月に英語版リリース済み)
  • グランブルーファンタジー(モバイル・ウェブ)
  • グランブルーファンタジー Relink(コンソール・PC、内製エンジン + UE4活用)
  • Shadowverse(デジタルカードゲーム、多言語対応済み)

TTS需要の所在

  1. キャラクターボイス量の爆発的増大: ウマ娘だけでも数百キャラクターが各々複数パターンのボイスを持ち、新規イベント・シナリオごとに収録が発生する。専属声優収録コストは高騰しており、補完的TTS(zero-shot音声クローン)への需要余地は大きい。

  2. グローバル多言語展開: ウマ娘英語版は2025年6月リリースし、海外売上が前年比約6倍(2025年9月期Q4単期で200億円超)に急拡大。Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)も多言語展開中。英語・中国語・韓国語への音声ローカライズ需要が顕在化しており、zero-shot多言語TTSは直接的な価値を持つ。

  3. ゲーム開発内部ツール: CEDEC2025でLLMによるスクリプト作成支援ツールを発表。このパイプラインでAI生成テキストをそのまま音声プレビューするユースケース(TTS-as-preview)が想定される。

  4. NPC・対話AI音声化: 業界全体でLLM駆動NPCの音声化ニーズが顕在化しており、Cygames AI StudioがこのR&Dを担う可能性がある。

  5. 開発ツール・内部業務: AIチャットツールの内製展開(2つの内製ツール + ChatGPT/Gemini活用)が進んでおり、TTS付きアクセシビリティツールや音声フィードバック系の需要も想定される。

必要な TTS 機能マトリクス

ユースケース 多言語 オンデバイス zero-shot Unity SDK 優先度
ボイスクローン(補完) 要(英・中・韓) 不問 ★必須 望ましい 最高
LLM会話プレビュー 日本語中心 不問 望ましい Unity連携
NPC音声自動生成 望ましい 望ましい Unity必須 中〜高
開発ツール読み上げ 日本語 不問 不要 不問

現在の TTS 状況

音声収録体制

Cygamesは東京・大阪に自社音声収録スタジオを保有し、サウンド本部の専任スタッフ(ボイスエディター、サウンドエンジニア、フォーリーアーティスト)が収録・編集を内製している。ウマ娘のサウンド設計については複数のCEDEC・CGWORLDで詳細が公開されており、3Dサウンド・空間音響まで独自実装している。

TTS導入状況

現時点では公開情報なし。以下の観測事実から内製TTS未導入と推定する(※当方推定)。

  • CEDEC2023で実施したのは音声「解析」(感情分類)であり、音声「合成」ではない
  • CEDEC2025の発表はLLMによるシナリオ生成支援であり、音声合成への言及なし
  • Cygames AI Studio(2026年1月設立)の事業領域はコンテンツ制作支援全般であり、TTS特化は未言及

採用プロバイダ推定

不明。専属声優収録が主体であり、サードパーティTTSの採用は確認されていない。大型グローバルタイトルの音声ローカライズについては、専門ローカライズ会社(フランス・韓国等の現地スタジオ)に外注している可能性が高い。

置き換え障壁

  • 声優文化・ファン心理: 日本ゲーム業界において声優は重要IP構成要素。主要キャラクターへのTTS代替はファンの強い反発を招くリスクがある。
  • 既存収録ワークフロー: 自社スタジオ・スタッフへの設備投資済み。外部TTS導入は組織的摩擦を生む。
  • 補完・PoC用途では障壁低: 開発内部プレビュー・新キャラ仮収録・多言語自動翻訳読み上げ等は声優保護の観点から障壁が少ない。

購買仮説

なぜ買いそうか

  1. グローバル展開の加速: 英語版ウマ娘の大ヒット(Steam SLG販売数1位)により、英語・欧州言語対応タイトルの音声ローカライズコスト削減は経営課題として浮上している。zero-shot TTSによる「元音声から別言語生成」は直接的解決策になりうる。

  2. AI専門子会社の設立: Cygames AI Studio(2026年1月設立)はまさに「AIによるコンテンツ開発支援」を事業目的としており、TTS導入評価を行う専任組織が存在する。

  3. 内製AI開発の実績: CEDEC2024/2025で複数の内製AI生成ツールを公開。「ツールとして使える技術」への評価経験があり、新規技術の評価PoCを実施する組織文化がある。

  4. キャラクターボイス補完需要: 既存キャラクターのイベント用追加ボイス、新規NPCの仮音声など、声優コストを抑えた「副音声需要」は実在する。

想定決裁者

  • Cygames AI Studio CTO/技術責任者: 直接的な技術選定権限を持つ最有力ターゲット
  • サウンド本部長: 音声収録ワークフロー変更の意思決定者
  • CTO(親会社): グループレベルの技術基盤投資を承認

予算サイクル

Cygamesの会計年度は10月〜9月(9月決算)。新規技術PoC予算は通常下半期(4〜9月)に確定する傾向が見られる。Cygames AI Studioは2026年1月設立のため、初年度(2026年9月期)は予算確立期間にあたる可能性が高く、外部技術評価の好機と考えられる。

アプローチ戦略

推奨アプローチ: 次世代 TTS (next-gen) から入る

piper-plus(OSS)での参入は以下の理由で推奨しない。 - Cygamesはプロダクション品質へのこだわりが強く、OSSプロトタイプはPoC入口として弱い - 内製AI開発力があるため、OSSは自前で統合できると判断される可能性がある

推奨ルート: zero-shot多言語音声クローン(次世代TTS)でのPoC提案から入る。

ターゲット部門

  1. 第一優先: Cygames AI Studio(最新設立・AI全般担当・外部技術評価に積極的と推測)
  2. 第二優先: Cygamesサウンド本部(音声ワークフロー改善の直接利害関係者)
  3. 第三優先: ゲーム開発部門のR&D担当(LLM×音声パイプライン構築文脈)

提案文面キーフレーズ案

件名: 【Cygames AI Studio向け提案】多言語ゼロショット音声クローン技術のPoC提案

貴社がウマ娘の英語版グローバル展開で達成された成果に注目しております。
多言語展開における声優収録コストと品質のトレードオフを解決する
「ゼロショット多言語TTS」を提案させてください。

既存日本語音声(数秒)から英語・韓国語・中国語のキャラクターボイスを
自動生成するPoC(4〜8週間)を想定しております。
Unity SDKでゲームパイプラインへの直接統合も可能です。

入口イベント

  • CEDEC 2026(2026年8月): Cygamesは毎年複数セッション登壇。スポンサーブース設置またはセッション後アプローチが最有効。
  • Cygames Tech Conference(年1回・秋): 直接リーチ可能な技術カンファレンス。
  • CyberAgentグループ経由紹介: CyberAgentのパートナープログラムやゲーム事業本部経由でのイントロが最短経路。

関連プロダクト・採用事例

音声・サウンド関連

  • 自社収録スタジオ(東京・大阪): 7.1.4ch対応編集室を含む本格設備
  • 大阪サウンドフォーリースタジオ: 2022年完成、5.1ch対応、東京とのリモート収録連携
  • ウマ娘3Dサウンド: キャラクター呼吸音・蹄音の3D空間配置を独自実装

AI・機械学習関連

  • CEDEC2023: 自然言語処理・音声解析による感情分析(ゲームシナリオ全キャラクター台詞を学習)
  • CEDEC2024: 生成AI活用ゲーム開発支援ツール、AI活用社内リソース検索
  • CEDEC2025: LLMによるシナリオスクリプト作成支援、内製AIチャットツール2種、生成AIツール3種
  • Cygames AI Studio(2026年1月設立): AI活用サービス・ツール開発の専門子会社

技術スタック

  • ゲームエンジン: Unity(モバイル・ウマ娘等)、Unreal Engine 4(グランブルーファンタジー Relink)、内製エンジン(一部コンソールタイトル)
  • AI基盤: GPT-4(ChatGPT)、Gemini、内製LLMチャットツール

登壇実績(音声・AI関連)

カンファレンス タイトル
2023 CEDEC AIによる自然言語処理・音声解析を用いた感情分析
2024 CEDEC 生成AI活用ゲーム開発支援ツール
2025 CEDEC LLMによるゲーム内会話スクリプト作成支援
2025 CEDEC 内製AIチャット2種・生成AIツール3種の全社展開

リスク・注意点

内製化方針リスク

Cygames AI Studioの設立は「外部依存を減らして内製化を進める」戦略とも読める。TTS技術も自社モデルを構築する方向に進む可能性があり、外部調達の必要性が失われるリスクがある。

声優・芸能プロダクションとの関係

日本ゲーム業界では声優は重要コンテンツ要素であり、所属事務所との契約上の制約も存在する。「声優の声でAI音声を生成する」という文脈でのTTS導入は法的・倫理的審査が必要。一方で「新規NPCへのTTS適用」「多言語翻訳読み上げ」は比較的障壁が低い。

競合プロダクトとの関係

  • VOICEVOX / AquesTalk系: 既にゲーム業界内での認知が高く、インディー〜中規模ゲームでの採用実績あり。Cygamesが内部評価する場合の比較対象となる。
  • 音声生成AI(国内): AIエルフ(CoeFont)、riminim等の国内TTS事業者も同一マーケットを狙っており、競合が激しい。
  • グローバル大手: ElevenLabs、Resemble AI等の海外プロバイダも多言語ゲーム音声市場に参入済み。差別化として「Unity/Godot SDK」「オンデバイス推論」「日本語ネイティブ品質」を前面に出す必要がある。

コンプライアンスリスク

生成AI活用に際して「クリエイターが安心・安全に利用できるAI技術」を明示的に謳っているCygames AI Studio。声優・イラストレーターの権利保護に敏感であり、TTS提案においても「学習データの出処」「声優同意フロー」を事前に整備して臨む必要がある。

過去の投資撤退リスク

非上場企業のため外部からの詳細把握は困難だが、2024年9月期は売上・利益ともに前期比減少(売上6.0%減・営業利益13.6%減)となっており、コスト最適化圧力が高まる可能性がある。ただし2025年9月期は営業利益103%増の大幅増益に転換しており、予算消化力は回復している。「AI活用によるグローバル展開加速」のフレーミングが通りやすい環境と言える。

連絡先候補

公式窓口

窓口 URL / 詳細
法人・団体向け問い合わせ https://form.cygames.co.jp/corporate
一般問い合わせポータル https://form.cygames.co.jp/

技術系イベント(登壇者アプローチ)

イベント 時期 Cygames関連
CEDEC 2026 2026年8月(予定) 毎年複数セッション登壇。最重要アプローチ機会
Cygames Tech Conference 2026年秋〜冬(予定) 社内外向け技術カンファレンス。前回は2024年11月開催
TGS(東京ゲームショウ) 2026年9〜10月(予定) Cygames単独ブースあり。ビジネスデー活用
GDC 毎年3月(米国) Cygames海外技術発表あり

キーパーソン推定(公開情報ベース)

  • Cygames AI Studio代表取締役: 芦原英人氏(公開情報に基づく)
  • CEDECサウンド・AI関連登壇者(氏名はCEDEC公式サイト参照)
  • CyberAgent ゲーム事業本部経由でのイントロが最短

採用ページ経由

キャリア採用ページ(https://recruit.cygames.co.jp/career/)でAI・サウンドエンジニアの採用担当者経由でのネットワーキングも有効。