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株式会社Voicy

1 行サマリー

審査制の音声配信プラットフォームと法人向けブランドソリューションを軸に、「声のメディア」エコシステムを構築するスタートアップ。

ビジネスモデル

Voicy は 混合型(mixed) の収益構造を持つ。

主軸 1: B2C プラットフォーム 一般消費者向けの音声配信アプリ「Voicy」を無料で提供し、パーソナリティ(クリエイター)が発信するコンテンツで聴衆を獲得する。パーソナリティは厳格な審査(承認率約5%)を通過した著名人・専門家が中心で、プラットフォームの品質担保に直結している。有料機能「プレミアムリスナー」(2020年9月開始)により個人課金も確立しており、開始4ヶ月で月次会費1,000万円超を達成したとされる。

主軸 2: B2B ブランドソリューション 企業のオウンドメディア化・採用広報・社内コミュニケーションを支援する法人サービス「VoicyPro」(2025年4月提供開始)と、ポッドキャスト制作代行の「Voicy Podcast Studio」(2026年6月開始)が B2B 収益の柱。グロービス経営大学院・外務省・パーソルキャリアなどを顧客として持つ。

補助: スポンサーシップ・タイアップ 人気パーソナリティへのスポンサー枠販売や音声広告を媒体として収益化する広告モデルも並走している。

非公開企業のため売上は非開示だが、事業フェーズは「収益化推進期」にある。赤字状態は継続しており、投資家資金を事業拡大に充てる構造を維持している。

売上・利益・財務ハイライト

最新公開値(2024年1月期・第8期)

指標
当期純損失 ▲4.7億円
前期純損失 ▲4.3億円(2023年1月期)
総資産 約20.2億円
純資産 約16.5億円
資本比率 81.4%
資本金 1億円

売上高(営業収益)は非開示。赤字幅は2022年1月期(▲3.5億円)→2023年1月期(▲4.3億円)→2024年1月期(▲4.7億円)と拡大傾向にある。一方で資本比率は80%超を維持しており、2022年7月の27.3億円調達による手元資金が財務の安定を支えている。2025年1月期(第9期)の決算情報は執筆時点では未公表。

※売上高は非公開のため本文で「非公開」と記載。純損失は官報公告データに基づく公表値のため推定ではない。

沿革・撤退事業

年月 出来事
2016年2月 株式会社Voicy 設立(代表:緒方憲太郎)
2016年9月23日 音声配信プラットフォーム「Voicy」正式ローンチ
2017年3月 エンジェルラウンド調達。有力起業家12名が参加しβ版を大幅リニューアル
2018年2月 起業家16名から2,800万円の第三者割当増資
2019年2月 グローバル・ブレイン(リード)、D4V、TBS、電通等から約7億円調達
2019年3月 ABCドリームベンチャーズ・文化放送等から約1.2億円追加調達。累計8.2億円
2019年 日本経済新聞と提携開始。各新聞社・放送局との連携を拡大
2020年9月 プレミアムリスナー(有料サブスク)開始
2021年 月間再生時間100万時間超・月間アクティブユーザー250万人突破
2022年7月 SKIYAKI・PR TIMES・大阪大学系VC等から27.3億円調達。累計調達額36億円
2022年8月 本社を渋谷区南平台町に移転
2022年 登録会員数150万人・チャンネル数1,600超を突破。人気パーソナリティが月9百万円超を稼ぐ事例も登場
2025年3月 NewsPicksと協業した経済ニュース番組「Voicy NewsPicks」配信開始
2025年4月 法人向け音声配信サービス「VoicyPro」提供開始
2025年12月 「Voicyエピソードアワード2025」実施。22万超の放送から大賞を選出
2026年6月 「Voicy Podcast Studio」(法人向けポッドキャスト制作代行)ローンチ。TBS Podcastと連携した法人音声ブランディング開始

撤退・休止事業 現時点で公式に撤退・休止を発表した事業セグメントは確認されていない。コンテンツ審査の厳格化によって当初想定より開放的なオープンプラットフォームへの拡張は限定的に留まっているが、これは戦略的選択であり撤退ではない。

主要メンバー

役職 氏名
代表取締役CEO 緒方 憲太郎(おがた けんたろう)

緒方憲太郎は1980年兵庫県生まれ。大阪大学基礎工学部および経済学部を卒業後、公認会計士として Ernst & Young(米国)に勤務。帰国後はベンチャー支援に従事し、2016年に株式会社Voicyを創業。公認会計士という財務バックグラウンドと音楽・文化領域への知見を持つ異色のCEO。

その他の役員情報(CTO・CFO等)は公式サイト上で非開示であり、公表されている情報からは確認できない。

ピッチ・資金調達履歴

年月 ラウンド / イベント 金額 主要投資家・備考
2017年3月 エンジェルラウンド 非公開 有力エンジェル12名参加。β版大幅リニューアルと同時発表
2018年2月 プレシリーズA 約2,800万円 起業家16名からの第三者割当増資
2019年2月 シリーズA 約7億円 グローバル・ブレイン(リード)、D4V、TBS、電通
2019年3月 シリーズA追加 約1.2億円 ABCドリームベンチャーズ、文化放送、個人投資家
2022年7月 シリーズB 27.3億円 SKIYAKI、PR TIMES、大阪大学ベンチャーNVCCファンド1号、みずほ成長支援ファンド4号、海外投資家1社、個人14名(Voicyパーソナリティ含む)

累計調達額: 36億円(2022年7月時点)

IVS・ICC・B Dash Campへの登壇記録は公開情報から確認できなかった。緒方代表は音声配信・スタートアップ系イベントへの登壇が多数確認されている(FastGrow、Amaterasインタビュー等)。

関連プロダクト

プロダクト名 概要
Voicy 審査制の音声配信プラットフォーム。著名人・専門家が一次編集なしの「生の声」で発信する B2C アプリ。無料で聴取可能、プレミアムリスナー課金あり
VoicyPro 企業・団体向けの音声配信サービス(2025年4月開始)。採用広報・社内ラジオ・ブランドコミュニケーションを支援。詳細な分析ダッシュボード、AI文字起こし、限定公開放送機能等を提供
Voicy Podcast Studio 企業向けポッドキャスト制作代行サービス(2026年6月開始)。企画立案からデータ分析まで一気通貫で支援

uPiper との位置関係

判定: 無関係(ただし市場隣接性あり)

Voicy は「厳選された人間の声を届けるプラットフォーム」として成立しており、AI音声合成・TTS 技術を中核には置いていない。ユーザーが肉声で録音し編集なしに配信するという哲学がプロダクトの根幹にある。uPiper(StyleTTS2/Kokoro 系の日本語特化軽量 TTS + Unity SDK・モバイルオンデバイス推論)とは技術スタック・対象顧客・ビジネス形態のいずれも大きく異なり、直接競合関係にはない。

差別化フックを整理すると次のようになる。uPiper が解く問題は「ゲームや companion アプリ上でオンデバイス合成によって人間らしいキャラクターボイスを出力する」こと、すなわちコンテンツ自動生成側のインフラである。一方 Voicy が解く問題は「実在する人物の信頼ある声をメディアとして流通させる」こと、すなわちコンテンツ配信側の流通インフラである。両者は音声という素材を扱うが、生成と流通という正反対のレイヤーに位置する。もし Voicy が将来的に AI パーソナリティ機能(架空キャラが音声で語るチャンネル)へと踏み込んだ場合、uPiper のような軽量 TTS エンジンとの統合可能性が生まれる。現時点では競合でも補完でもなく「非重複の隣接市場」と位置づけるのが正確である。