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株式会社テクノスピーチ

1 行サマリー

名古屋工業大学発の音声・歌声合成専門ベンチャー。プロ野球スピリッツ2024-2025(PS5)・カシオトーン・JOYSOUNDへのSDK採用実績を持ち、2025年1月にibisPaint運営のアイビス社(東証グロース)へ5.12億円で全株式譲渡、完全子会社化された。


ビジネスモデル

テクノスピーチは B2B SDK ライセンス を主軸に、B2C ソフト販売(VoiSona)カスタムボイス受託 を複合した mixed モデルを採る。

収益柱 内容 主要顧客
Speech/Singing Synthesis SDK ゲーム機・電子楽器・カラオケ機器への組込みライセンス コナミ、カシオ計算機、JOYSOUND
VoiSona (B2C) Windows/macOS向けAI歌声・音声創作ソフト。無料プランあり、追加ボイスはDLC課金 個人クリエイター、VTuber制作者
CeVIO AI (共同ブランド) テクノスピーチがエンジン供給、他社ブランドで展開 個人クリエイター
Original Voice / カスタム受託 数時間分の収録音声から専用ボイスを生成する受託サービス 企業・医療機関

SDK の価格体系は要問い合わせ(非公開)。VoiSona のボイスライブラリは買い切り DLC 販売が基本。

プラットフォーム対応は Windows / macOS / Linux / iOS / Android / 組込み / PS5(2024年7月より対応) と幅広く、PS5 対応は業界では先行事例として注目された。


売上・利益・財務ハイライト

アイビスが 2024 年 12 月 26 日付の 東証グロース適時開示(子会社化承認)において、テクノスピーチの財務概要を以下のとおり公表した(11 カ月変則決算、公開情報のため推定ではない)。

指標 金額
売上高 1 億 1,700 万円
営業利益 △ 6,110 万円(赤字)
純資産 1 億 1,300 万円
  • 資本金:38,444,100 円(公式サイト記載)
  • M&A 買収金額:5 億 1,200 万円(全株式・議決権 100%)
  • EV/売上倍率は約 4.4 倍となり、成長期待を織り込んだプレミアム評価といえる。
  • 直近売上はまだ小規模で 営業赤字。ゲーム業界・グローバル展開加速によるスケールアップが経営課題。

その他の財務データ(年度別推移・利益率)は非公開


沿革・撤退事業

出来事
2009-11-19 国立大学法人名古屋工業大学を中心とする研究グループを起源として設立
〜2012頃 CeVIO プロジェクトに参画。テクノスピーチが音声合成エンジンを担当
2018-12-14 「AI技術による超高精度な歌声合成実現」を公式発表(ディープラーニング転換点)
2020 資金調達 2 ラウンド実施(詳細非公開)。エンジニア採用・開発拠点整備
2022-01-21 カシオ計算機の電子キーボード「CT-S1000V」に歌声合成技術を提供。3 月発売
2022〜 JOYSOUND ボーカルアシスト機能(リアルタイム歌唱補助)に技術提供
2023 VoiSona を独立ブランドとして本格展開
2024-07-26 AI 音声合成 SDK・AI 歌声合成 SDK の PS5 対応を発表。ゲーム機向け初対応
2024-09-19 コナミ「プロ野球スピリッツ 2024-2025」(PS5/Steam)にリアルタイム実況音声として採用・発売
2024-09-26 東京ゲームショウ 2024 に出展(ビジネスデー)
2024-12-26 株式会社アイビス(東証グロース 9343)が全株式取得を発表(取得価額 5 億 1,200 万円)
2025-01-31 アイビスへの全株式譲渡完了。100% 子会社化。大浦・徳田両代表取締役は続投

撤退事業:公表されているものはなし。コア技術領域(音声・歌声合成)に一貫して集中している。


主要メンバー

徳田 恵一(Keiichi Tokuda)— 取締役会長

名古屋工業大学教授。音声合成研究の第一人者で、HMM(隠れマルコフモデル)ベース音声合成の国際的権威。同大学発ベンチャーとしてテクノスピーチを共同創業。CTO 的役割を担い、学術研究と製品開発を橋渡ししてきた。子会社化後も会長として経営継続。

大浦 圭一郎(Keiichiro Oura)— 代表取締役社長

事業・技術の両面で責任を持つ経営トップ。プロ野球スピリッツ採用においては「48kHz/24bit 相当の音質」「0.1 秒タイムラグのリアルタイム処理」という技術課題を陣頭指揮した。アイビス子会社化後も代表取締役として続投。メディアへの技術説明も積極的に行う。

宮崎 洋平 — 監査役

公認会計士・税理士。財務ガバナンスを担当。


ピッチ・資金調達履歴

時期 内容 金額
2020年(複数ラウンド) エクイティ資金調達 2 回(投資家名・ラウンドステージ非公開) 非公開
2024-12-26(M&A) アイビスによる全株式取得(子会社化)発表 5 億 1,200 万円(取得側コスト)
2025-01-31 子会社化完了。アイビスよりテクノスピーチへの融資も同時実行(詳細額は非公開) 非公開

2020 年の資金調達については投資家名・ラウンド規模ともに非公開。M&A 前の累積調達総額は非公開。スタートアップデータベース等に記録はあるが詳細は有料会員限定。


関連プロダクト

VoiSona

  • カテゴリ:AI 歌声・音声創作ソフト(B2C)
  • 対応 OS:Windows / macOS
  • 特徴:テクノスピーチ独自ブランド。CeVIO AI と同等のエンジンを持ちながら、よりプロクリエイター向けの機能・ボイスライブラリを提供。DLC 追加ボイス課金モデル。
  • ユーザー層:VTuber・音楽クリエイター・ゲーム制作者

CeVIO AI(共同ブランド)

  • カテゴリ:AI 音声合成・歌声合成ソフト(B2C)
  • テクノスピーチがエンジン提供。複数企業共同プロジェクト。「さとうささら」等の有名ボイスキャラクターを展開。

Speech Synthesis SDK(B2B)

  • カテゴリ:組込み向け TTS エンジン
  • 感情表現(喜怒哀楽)対応、リアルタイム推論対応
  • 対応プラットフォーム:Windows / macOS / Linux / iOS / Android / PS5 / 組込みデバイス
  • 採用事例:プロ野球スピリッツ 2024-2025(コナミ)

Singing Synthesis SDK(B2B)

  • カテゴリ:組込み向け歌声合成エンジン
  • 採用事例:Casiotone CT-S1000V(カシオ計算機)、JOYSOUND ボーカルアシスト(エクシング)

Original Talking / Singing Voice(受託)

  • 数時間分の音声収録データからカスタムボイスを生成する受託サービス
  • 医療用(ALS・喉頭がん患者向け発声支援)への応用も展開

uPiper との位置関係

uPiper は StyleTTS2 / Kokoro 系の日本語特化軽量 TTS に Unity SDK を組み合わせ、モバイル・オンデバイス推論に特化した lifestyle business である。テクノスピーチとは 競合しつつも棲み分けが明確

比較軸 テクノスピーチ uPiper
技術基盤 自社独自ディープラーニング(名工大系統計的パラメトリック合成を進化) StyleTTS2 / Kokoro 系 OSS ベース
ターゲット品質 プロ品質・感情豊か(ゲーム・楽器・カラオケ) 軽量・実用品質(モバイル常駐)
SDK 展開 コンソール(PS5)・組込み・エンタープライズ向け Unity SDK、モバイル(iOS/Android)向け
ビジネス形態 B2B エンタープライズ + B2C ソフト、大手との中規模契約 Lifestyle business、小規模・個人開発者向け
組織規模 26 名(大企業子会社化済み) 推定小規模(数名〜十数名)
価格戦略 要問い合わせ(非公開・エンタープライズ向け) 低コスト・オープン指向
棲み分け ゲーム機・カラオケ・楽器というハードウェア組込み市場が主戦場 モバイルアプリ・インディーゲーム・個人開発が主戦場

テクノスピーチが PS5 向け SDK を確立した一方、uPiper が狙う「モバイル・オンデバイス × Unity エコシステム」は現時点でテクノスピーチが本格参入していない空白域。ただしアイビスグループ参画により、ibisPaint(3.7 億 DL)の世界展開ネットワークを活かしたモバイル B2C 展開が加速する可能性があり、中期的には uPiper の主戦場と重複するリスクがある。