ソフトバンクロボティクス株式会社¶
1 行サマリー¶
ソフトバンクグループ傘下の非上場ロボットメーカー。感情認識ヒューマノイド Pepper を起点に清掃・配膳・調理ロボットへ多角展開し、赤字縮小中。
ビジネスモデル¶
主力は企業向けロボットのレンタル・サブスクリプション型ライセンスモデル。Pepper/Pepper+ は月額 3.98 万円〜 (介護向け) / 7.98 万円〜 (接客向け) の月次サブスクとして提供し、初期費用は最低限に抑えて導入障壁を下げる設計になっている。清掃ロボット Whiz シリーズはサービス込みのレンタル形態を基本とし、2026年 5 月には国産フルラインナップ 3 機種 (Whiz P/B/V) を追加投入した。配膳ロボット Servi/Servi Plus は飲食店・ゴルフ場等へ展開。さらに自動調理ロボット BOTINKIT Omni (2026年6月)・炎式調理ロボット FLAMA も取り扱い、物流自動化インテグレーター (RI) としての顔も強まっている。収益構造は月額サブスク+保守費用の積み上げ型で、ハードウェアの粗利よりも継続サービス収入を重視している。
売上・利益・財務ハイライト¶
非上場のため単独開示値は限定的。入手できた最新公開値は以下のとおり。
| 指標 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 最終損失 (2024年3月期 / 第10期) | 23.89 億円 | gamebiz 報道 (2024年9月) |
| 最終損失 (2023年3月期 / 第9期) | 37.96 億円 | 同上 |
| 売上高 | 非公開 | 官報決算 DB 未掲載 |
| 総資産 (2023年3月期, グループ連結) | 約 159.1 億円 | gurafu.net |
| 利益剰余金 (2023年3月期, グループ連結) | -約 1,161 億円 | 同上 (累積赤字) |
| 累積資金調達 (2015年第三者割当) | 290 億円相当 | アリババ・フォックスコン各 145 億円 |
| 従業員 (2025年1月時点) | 332 名 | 公式サイト |
赤字幅は 2021年3月期の 196 億円から縮小傾向にあり、事業ポートフォリオの整理が進んでいることが読み取れる。グループ親会社 (ソフトバンクグループ) の有報には単体開示がないため、売上高の確定値は非公開と判断する。
沿革・撤退事業¶
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 2011年 | ソフトバンク 100% 出資で「アミューズスリー株式会社」設立 (後のグループ持株会社の前身) |
| 2012年 | 感情認識技術ベンチャー AGI を買収 |
| 2013年 | ソフトバンク、フランス Aldebaran Robotics (NAO 開発元) の 78.5% 超を取得 |
| 2014年6月5日 | 感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper」発表 |
| 2014年7月24日 | 「ソフトバンクロボティクス株式会社」設立 (代表: 冨澤文秀) |
| 2015年6月 | アリババ・フォックスコンが各 145 億円 (計 290 億円) 出資、各 20% 議決権取得 |
| 2015年7月 | 「Pepper for Biz」レンタル開始 (月額 5.5 万円) |
| 2016年5月 | Aldebaran Robotics を「SoftBank Robotics Europe」に改称 |
| 2017年11月 | 業務用清掃ロボット事業参入を発表 |
| 2018年11月 | 床清掃ロボット「Whiz」発表 (Brain Corporation の自律走行 OS 採用) |
| 2020年夏 | Pepper の新規製造を一時停止 (需給充足を理由とするが、実質的な販売失速が背景) |
| 2021年2月 | 配膳・運搬ロボット「Servi」販売開始 (月額 9.98 万円〜) |
| 2021年3月期 | 最終損失 196 億円の過去最大赤字を計上 |
| 2022年4月 | SoftBank Robotics Europe をドイツ United Robotics Group (URG) に株式譲渡、欧州 Pepper/NAO 事業を移管。社名は旧称「Aldebaran」に戻る |
| 2023年12月 | 「Pepper for Education」向け生成 AI リテラシー教材を提供開始 (落合陽一監修) |
| 2024年1月 | 「Servi Plus」発売 (ゴルフ場 66 ヶ所・100 台導入決定) |
| 2025年2月 | Aldebaran が破産申請。URG による資金提供停止が直接原因 |
| 2025年6月 | 仏裁判所が Aldebaran を管財人管理下 (receivership) に移行 |
| 2025年7月 | 中国 Maxvision Technology が Aldebaran の NAO/Pepper 知財を約 90 万ユーロで競売落札。ソフトバンクロボティクスは Pepper/NAO の IP を事実上失う |
| 2026年2月 | AIエージェント搭載新機種「Pepper+」提供開始。デザイン・タブレットを 2014 年以来初リニューアル |
| 2026年2月 | Pepper、世界初の量産型ヒューマノイドとしてギネス世界記録認定 |
| 2026年5月 | Whiz シリーズ 3 新機種 (Whiz P/B/V) 発表・国産フルラインナップ化 |
| 2026年6月 | 自動調理ロボット「BOTINKIT Omni」販売開始、経団連入会 |
撤退・休止事業の補足: 欧州 Pepper/NAO 開発・販売は 2022 年に URG へ移管し、2025 年に Maxvision が知財を取得したことでソフトバンクロボティクスの直接関与は終了。日本国内向け Pepper サービスは継続しているが、旧来の Pepper (第1世代) の新規製造は事実上停止している。
主要メンバー¶
| 役職 | 氏名 |
|---|---|
| 代表取締役社長 兼 CEO | 冨澤 文秀 |
冨澤文秀氏は NTT 出身。ソフトバンクグループ転職後、ブロードバンドサービス・プリペイド携帯などの新規事業を牽引し、2014年のソフトバンクロボティクス設立と同時に代表に就任。公開情報の範囲では CTO・CFO 等の個別役員名は確認できなかった (非公開)。
ピッチ・資金調達履歴¶
| 年月 | 内容 |
|---|---|
| 2015年6月 | 第三者割当増資: アリババグループ 145 億円・フォックスコン 145 億円 (計 290 億円)。各社が議決権 20% 取得 |
IPO 実績なし。公開資料で確認できる外部調達はアリババ・フォックスコンからの 2015 年増資のみ。その後の追加調達情報は非公開。主要ロボット展 (CEATEC、国際ロボット展等) へは毎年出展しているが、スタートアップイベント (ICC/IVS/B Dash) への登壇実績は確認できなかった。
関連プロダクト¶
| プロダクト | 概要 |
|---|---|
| Pepper (第1世代) | 2014年発表の感情認識ヒューマノイド。身長 121cm、21 関節、感情エンジン搭載。法人向けレンタルが主。NAOqi OS で動作 |
| Pepper+ | 2026年2月発表の刷新版。AIエージェント (顔認証・属性推定・接客提案) 搭載、タブレット一新。月額 7.98 万円〜 |
| NAO | 身長 58cm の教育・研究向けヒューマノイド。25 自由度、100 以上のセンサ搭載。IP は 2025 年に Maxvision へ移転済 |
| Whiz (初代) / Whiz i | Brain Corporation の自律走行 OS「EMMA」搭載の床清掃ロボット |
| Whiz V | 2026年5月発表の乾式バキューム型。最小通行幅 60cm、Whiz i 比清掃効率 2.4 倍 |
| Whiz P | 同年発表の中小規模施設向け多機能清掃ロボット (吸引・掃き・スクラビング・モップがけ) |
| Whiz B | 物流倉庫・工場向け自律走行スクエアスイーパー。一晩で 4 万平方メートル以上を清掃 |
| Servi | Bear Robotics (米) との協業による配膳・運搬ロボット。3 段トレー、最大積載 35kg |
| Servi Plus | Servi の上位版。2024年1月発売、ゴルフ場・高級施設向けに展開 |
| BOTINKIT Omni | 2026年6月販売開始の大容量自動調理ロボット |
| FLAMA | 炎式調理ロボット。2026年4月から先行申し込み開始 |
uPiper との位置関係¶
判定: 補完的 (直接競合なし)
uPiper は StyleTTS2/Kokoro 系の日本語特化軽量 TTS エンジンで、Unity SDK 経由でモバイル・オンデバイス推論を実現する lifestyle business 製品である。ソフトバンクロボティクスは発話機能を持つロボットを開発・販売するハードウェア+サービス企業であり、TTS レイヤーそのものの競合は存在しない。
接点となりうるのは Pepper/Pepper+ の発話エンジン周辺である。現行の Pepper+ は NAOqi からクラウド AI エージェント基盤に移行しており、オンボードでリアルタイム音声合成を行うモジュールの選択余地がある。uPiper のオンデバイス推論・小フットプリント・Unity 互換という特性は、展示場や介護施設での常時接続が不安定な環境で動く Pepper+ に対して、低レイテンシ音声出力のソリューションとして訴求できる可能性がある。ただしソフトバンクロボティクスは自社 AI エージェント基盤 (SBX Connect 等) の内製化を志向しており、外部 TTS SDK の採用ハードルは高い。パートナーシップ交渉よりも、同社の ISV エコシステムや Pepper+ SDK を通じたサードパーティ事例の積み上げが現実的な関係構築の入口となる。