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シャープ株式会社(RoBoHoN / コミュニケーションロボット事業)

1 行サマリー

世界初のモバイル型ロボット電話「ロボホン」を 2016 年に発売し、10 周年を迎えた 2026 年時点でも継続運営する、シャープのニッチ・コンパニオンロボット事業。

ビジネスモデル

RoBoHoN 事業は 混合型(mixed) の収益構造を持つ。

ハードウェア販売(B2C) Wi-Fi モデル(¥145,200)と LTE モデル(¥239,800)の 2 グレードを販売。高価格帯の耐久消費財として一括購入を前提とするため、顧客獲得単価は高いが購買頻度は低い。

月額サービスサブスクリプション(SaaS に近い) すべての機能を使うには「こころプラン」(月額 ¥1,078)が必須。2025 年 10 月に追加開始した「ロボデイズ」(ChatGPT 連携)は月額 ¥550 の上乗せプランとして追加課金。サブスクが LTV を支える設計。

アプリエコシステム シャープ独自のアプリストア経由で歌・踊り・健康コーチング等を随時追加。アップデートによる機能拡張がリテンションを維持する。

法人・業務向け(B2B) 介護施設・ホテル・観光案内等での業務展開を意識した「ビジネスベーシック/プレミアムプラン」も用意。ただし規模感は非公開。

事業セグメント上は スマートライフ事業グループ(FY2024 売上約 6,435 億円、事業全体)に分類されるが、RoBoHoN 単体の売上は非公開。ハードウェア単価の高さとユーザー数の限定性から、全社規模では小規模事業とみられる。

売上・利益・財務ハイライト

RoBoHoN 単体の財務数値は非公開。 以下はシャープ全社および該当セグメントの開示値。

指標 数値 出典
シャープ連結売上高(FY2024、2025 年 3 月期) 約 2 兆 1,601 億円 2025 年 3 月期 決算短信
前年比 ▲6.97%(FY2023 比) 同上
スマートライフ事業グループ売上(FY2024) 約 6,435 億円 2024 年度決算説明資料
同営業利益率 約 3.4% 同上
連結営業利益(FY2024) 約 485 億円 決算短信

※当方推定:RoBoHoN 事業単体の売上はスマートライフ事業内の「その他」に包含されており、単独での開示実績なし。機器単価・ユーザー数(把握できる限り数千〜数万オーナー規模)から推定しても、年間売上は数十億円以下の小規模事業と考えられる。利益貢献度は不明。

Foxconn(鴻海精密工業)傘下: 2016 年にシャープ株式の 66% を Foxconn が取得し子会社化。以降の資本政策・リストラはホンハイ主導で推進。シャープ自体は東証プライム(6753)に引き続き上場維持。

沿革・撤退事業

年月 出来事
1912 年 早川徳次が金属加工所として創業(「シャープペンシル」の発明者)
1970 年 電卓・液晶分野へ進出
2016 年 3 月 Foxconn(鴻海精密工業)によるシャープ買収完了(出資比率約 66%)
2016 年 4 月 RoBoHoN(ロボホン)記者発表。ロボットクリエイター・高橋智隆との共同開発
2016 年 5 月 26 日 RoBoHoN 初代機(SR-01M-W)発売。価格 ¥198,000
2016 年 11 月 テレビ CM 放映開始(キャッチコピー「Be, Original.」)
2017 年 10 月 Wi-Fi 専用モデル追加発売
2019 年 2 月 27 日 第 2 世代(SR-03M-Y)発売。Android 8.1、Snapdragon 430、2.6 インチ画面に進化。プロジェクタ廃止
2019 年 ライト版(座位のみ)など計 3 機種体制へ
2024 年 2 月 29 日 初代機のハードウェアメンテナンス終了(ソフトウェアアップデートは継続)
2024 年 12 月 カメラモジュール事業を Foxconn 子会社へ売却(アセットライト戦略)
2025 年 9 月 ChatGPT 連携アプリ「ロボデイズ」提供開始(月額 ¥550)
2025 年 10 月 シャープ独自 CE-LLM 活用の対話 AI キャラ「ポケとも」発表(ロボホン開発チームが担当)
2026 年 3 月 25 日 ロボホン誕生 10 周年記念オーナーズイベント開催
2026 年 4 月 河村哲治氏が社長執行役員 CEO 就任。「脱ハードウェアは不要」と明言、ブランド事業への投資倍増を表明
2026 年 5 月 26 日 ロボホン 10 周年記念日を公式祝賀

撤退・休止事業: - 初代ロボホンのハードウェアメンテナンスは 2024 年 2 月末終了(製品としての実質的なサポートライフサイクル終了) - 欧州エネルギーソリューション事業は FY2024 に収束(スマートライフセグメント全体の利益圧迫要因として開示)

主要メンバー

役職 氏名
代表取締役 社長執行役員 CEO 河村 哲治(2026 年 4 月就任)
CTO(最高技術責任者) 徳山 満
スマートライフ事業グループ リーダー(Managing Executive Officer / Co-COO) 菅原 泰史
代表取締役(親会社系) 呉 百煥(Wu Bai-Hsun)
外部共同開発者(ロボットデザイナー) 高橋 智隆(株式会社ロボ・ガレージ代表取締役、大阪電気通信大学客員教授)

※RoBoHoN 事業専任の事業部長・プロダクトマネージャーの公式開示は確認できず。スマートライフ事業グループ全体として管掌されている。

ピッチ・資金調達履歴

RoBoHoN 事業は親会社シャープの一事業部門であり、独立した資金調達・IPO 履歴はない。 スタートアップ文脈でのピッチ登壇(ICC / IVS / B Dash 等)も確認されていない。

シャープ全社レベルでの主要な資本イベント: - 2016 年 3 月:Foxconn(鴻海精密工業)がシャープ株式を約 3,888 億円で取得、66% 超の筆頭株主に(当時の経営危機からの救済的買収)

関連プロダクト

プロダクト 説明
RoBoHoN(ロボホン)Wi-Fi モデル 自宅用コンパニオンロボット。¥145,200。会話・歌・ダンス・健康コーチング等。
RoBoHoN(ロボホン)LTE モデル 外出対応版。¥239,800。電話・LINE メッセージ・4G 通信機能を内蔵。
こころプラン 月額 ¥1,078 の必須サブスクリプション。全機能のアンロックに必要。
ロボデイズ ChatGPT 連携の月額 ¥550 追加アプリ(2025 年 10 月〜)。カメラ会話・AI 日記生成機能。
ポケとも シャープ独自の CE-LLM を使った対話 AI キャラクター(2025 年発表)。ロボホン開発チームが担当し、ロボホン以外の端末への展開も想定。

uPiper との位置関係

判定:補完(部分的)/ 競合(ユーザー体験レイヤー)

uPiper(StyleTTS2/Kokoro 系日本語特化軽量 TTS + Unity SDK、モバイルオンデバイス推論、lifestyle business 形態)と RoBoHoN 事業を比較すると、レイヤーの棲み分けは明確だが、音声体験の重複ゾーンが存在する。

RoBoHoN は垂直統合型のハードウェア+クラウド音声プラットフォームであり、TTS エンジン選定はシャープ社内またはベンダー契約で完結している。外部 SDK を採用する動機は低い。一方で、uPiper が狙う「Unity 対応オンデバイス日本語 TTS SDK」の市場は、ロボホン本体の組み込みとは異なり、モバイルゲーム・VR アバター・スマホアプリ向けコンパニオン体験の開発者層を主な顧客とする。ここに競合関係は生じない。

差別化フックとして重要なのはクラウド依存性の対比だ。ロボホンの音声対話は「こころプラン」のサーバーサイド処理に依存し、オフライン環境では機能が著しく制限される。uPiper のオンデバイス推論はこの弱点の裏返し——ネットワーク遅延ゼロ・プライバシー保全・ランニングコスト不要——であり、ロボホンが参入できない「サブスクなしで動く日常的コンパニオン体験」を Unity エコシステム内でビルドしたい開発者に刺さる提案になりうる。ロボホンは富裕層・コアファン向けの¥150,000 超ハードウェアで、uPiper はゼロデバイスコストの SDK。競合するよりも、「コンパニオン AI ニーズの異なる価格帯・チャネルを担う補完的存在」として整理するのが適切だ。