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株式会社レトリバ

1 行サマリー

PFI(Preferred Infrastructure)発の NLP スタートアップ。コールセンター向け分析 AI「YOSHINA」と日本語埋め込みモデル「AMBER」を軸に、企業の生成 AI 実装を支援する。

ビジネスモデル

レトリバは自然言語処理・機械学習・深層学習を基盤に、企業向け B2B SaaS を提供する。主力プロダクト「YOSHINA」はテキストデータをアップロードするだけで顧客の声(VoC)を自動分類・課題抽出できるサブスクリプション型の分析 AI ツールで、コールセンター・CS 部門・マーケティング部門が主な対象顧客である。

2024年末に公開した埋め込みモデル「AMBER」は Hugging Face Hub でオープン公開(商用ライセンス)しており、直接の収益化よりも技術ブランド訴求・エンタープライズ案件への呼び水として機能している。2025年10月には菱洋エレクトロと資本業務提携を締結し、GPU インフラ提供側と AI 実装側の垂直連携でエンタープライズへの一気通貫 AI 導入支援を拡大する戦略に転換している。また「YOSHINA テーアン」(決裁者アポ獲得代行)・「YOSHINA セールス」(リード獲得代行)など YOSHINA ブランドを冠した営業支援 SaaS も展開し、プロダクト収益の多角化を進めている。

売上・利益・財務ハイライト

売上高は非公開(官報決算データベースでも「—」表示)。公表されている純利益(最終損益)は以下の通り(官報決算データベースより)。

決算期(6 月末) 純損益
2025年6月 ▲2,521万円
2024年6月 ▲1億8,631万円
2023年6月 ▲2億5,862万円
2022年6月 ▲2億5,302万円
2021年6月 ▲2億8,758万円
2020年6月 ▲4億851万円

直近 2025年6月期は赤字が大幅に縮小(前期比約▲9,000万円改善)しており、収益化フェーズへの移行が進んでいると見られる。資本金は 1 億円。総資産は 2025年6月末時点で約 3.1 億円。累計調達額は少なくとも 10 億円以上(2017年 UTEC 投資+2019年 7.5 億円ラウンド)。売上非公開のため revenue_jpy_latest は null、profit_jpy_latest は 2025年6月期の純損失▲25,212,000 円を記載。

沿革・撤退事業

  • 2016年8月 — 株式会社 Preferred Infrastructure(PFI)の Sedue 事業部が EBO(従業員買収)方式でスピンアウト。社員 11 名が PFI から事業を買い取る形で設立。初代代表取締役社長に河原一哉氏が就任。
  • 2016年10月 — コールセンター向けソリューション「VoC Analyzer」(問い合わせ履歴分析)・「Answer Finder」(類似質問検索)をリリース。
  • 2017年2月 — 東京大学エッジキャピタル(UTEC)を引受先とする第三者割当増資を実施(金額非公表)。
  • 2018年 — Answer Finder 1.1.0 リリース。丸紅情報システムズと販売パートナー契約締結。NTTデータ・スマートソーシングがコールセンター基盤サービスにレトリバ AI を採用。
  • 2019年7月 — SBIインベストメント・UTEC・SMBCベンチャーキャピタル・みずほキャピタルを引受先に 7.5 億円の第三者割当増資を実施。
  • 2021年 — 分析 AI ツール「YOSHINA」本格展開。コールセンター以外の顧客 VoC 分析・マーケティング領域へ事業拡張。
  • 2022年4月 — Morning Pitch に登壇(登壇者:河原一哉氏)。
  • 2023年2月 — 代表取締役社長 CEO を河原一哉から田口琢也(前 CFO)に交代。河原一哉は取締役ファウンダーとして新規事業開拓を担当。
  • 2024年12月 — 日本語検索特化の埋め込みモデル「AMBER(RetrievaEmbedding-01)」を Hugging Face Hub にオープン公開。
  • 2025年10月 — 菱洋エレクトロと資本業務提携締結。エージェンティック AI・フィジカル AI 領域での一気通貫 AI 導入支援体制を構築。

撤退・休止事業:初期製品「VoC Analyzer」「Answer Finder」は YOSHINA へ機能統合・ブランド刷新の形で実質的に廃番となったが、正式な撤退発表は確認されていない。独立した撤退事業は現時点で非公表。

主要メンバー

氏名 役職
田口琢也 代表取締役社長 CEO(2023年2月就任)。慶應義塾大学商学部卒。JAFCO で投資業務、DYM で執行役員管理部長を歴任後、2019年レトリバ入社、2020年取締役 CFO 就任。
河原一哉 取締役ファウンダー。電気通信大学卒。サン・マイクロシステムズ Solaris エバンジェリスト、シーエー・モバイル等を経て 2010年 PFI 入社。2016年レトリバを創業し初代代表取締役社長に就任。2023年より現職。

※ CTO・VPエンジニアリングの公開情報は現時点で確認できず。

ピッチ・資金調達履歴

年月 内容
2016年8月 創業(EBO 方式、PFI からの事業買収)
2017年2月 第三者割当増資(引受:UTEC、金額非公表)
2019年7月 第三者割当増資 7.5 億円(引受:SBIインベストメント、UTEC、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル)
2022年4月 Morning Pitch 登壇
2025年10月 菱洋エレクトロと資本業務提携(資本注入額は非公表)

累計調達額:公表分だけで 7.5 億円以上。2017年 UTEC ラウンドの金額は非公開のため正確な累計は不明。IPO 計画は現時点で非公表(Wantedly 採用ページには「上場に向けて急成長中」という記述が過去に確認されているが、最新の上場予定は未発表)。

関連プロダクト

プロダクト 概要
YOSHINA(よしな) 顧客の声(VoC)をテキストアップロードするだけで自動分類・課題抽出できる分析 AI SaaS。ITreview Grid Award 2026 Spring「テキストマイニングツール部門」で 14 期連続 Leader 受賞。
YOSHINA テーアン YOSHINA ブランドの決裁者アポ獲得代行サービス。営業支援 SaaS として展開。
YOSHINA セールス 毎月 10 件のリード提供を実現する営業代行サービス。
AMBER(RetrievaEmbedding-01) 日本語検索特化の テキスト埋め込みモデル(base: 132M、large: 315M パラメータ)。RAG の検索精度向上を目的に 2024年12月公開。Hugging Face Hub にてオープン提供(商用ライセンス)。
GGGenome 塩基配列の高速検索ツール。PFI 時代からの技術資産を継承。
CRISPRdirect ゲノム編集用ガイド RNA 設計ツール。バイオインフォマティクス領域向け研究用ツール。

uPiper との位置関係

レトリバと uPiper(StyleTTS2/Kokoro 系日本語特化軽量 TTS + Unity SDK、モバイルオンデバイス推論、lifestyle business 形態)は事業ドメインが非重複の無関係に位置する。レトリバの中核は「テキスト → 意味理解・分類・検索」という自然言語理解(NLU)側のスタック(YOSHINA による VoC 分析、AMBER による埋め込み検索)であり、uPiper が扱う「テキスト → 音声波形生成」という TTS(Text-to-Speech)技術とは技術レイヤーが根本的に異なる。競合関係は存在せず、強いて言えば補完的な可能性がある(たとえばコールセンター AI のアウトバウンド音声合成部分に TTS を組み合わせるシナリオ)が、現時点でレトリバが TTS 領域に参入する動きは見られない。uPiper の差別化フックとなるのは、レトリバが不在であるモバイルオンデバイス推論・Unity SDK・音声生成という領域であり、ゲーム・XR・ナレーション自動化への展開でレトリバとは顧客セグメントも重複しない。