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株式会社インターネット

1 行サマリー

1988年創業の大阪発DTMソフトハウスで、歌声合成キャラクター (Megpoid/GUMI 等) と音楽制作DAW (ABILITY) を両輪に、非上場で30年以上継続する音楽ソフト専業会社。

ビジネスモデル

主軸は PC 向けソフトウェアのパッケージ/ダウンロード販売による都度ライセンス収益。DAW「ABILITY」「Singer Song Writer」、波形編集「Sound it!」の音楽制作ツール群と、「Megpoid (GUMI)」「音街ウナ」「花響 琴」「がくっぽいど」等の歌声合成データベースが二本柱。

歌声合成事業ではヤマハの VOCALOID エンジンを利用した声優・タレントの音声ライセンス許諾を受け、キャラクターブランドとして販売。2020年代以降は Dreamtonics の Synthesizer V エンジンへ軸足を移し、AI 学習型モデルで差別化している。文章読み上げ (VOICEROID2・A.I.VOICE2) は AH-Software / エーアイ社の OEM 製品を販売代理することで品揃えを補完。

直販 EC (shop.ssw.jp) を主チャネルとし、量販店・楽器店の店頭パッケージも維持。Roland へのバンドル出荷 (1990年代〜2000年代) やディアゴスティーニ創刊号20万冊 (2008年) など、チャネル多角化の実績も持つ。サブスクリプションや SaaS 形態は現時点で採用していない。

売上・利益・財務ハイライト

非上場のため有価証券報告書は存在せず、単独の売上高・純利益の公開数値は確認できない。非公開

ただし会社のプレスリリース (2025年) において従業員数「50名未満」と記載されており、中小規模のソフトウェア会社であることが確認できる。ピーク時 VOCALOID 事業が全社売上の「約40%近くを占めた」と村上社長自身が DTMステーション誌上で言及 (2018年)。これはヤマハ VOCALOID 市場が最盛期 (2010〜2013年ごろ) にあたる時期の数値と推定される。

現在の Synthesizer V 2 AI 歌声データベースの定価は 1 本あたりパッケージ 10,780 円 / DL 9,680 円 (税込) で、3 製品同時リリース (2025年9月) を確認。Singer Song Writer Lite 最盛期には年間 2 万本を販売しており、定価換算で数億円規模の年商が旧来ラインに存在したと推定される。

※ 上記推定値はすべて当方推定。根拠は DTMステーション 2018年30周年インタビュー (村上社長コメント) および 2025年プレスリリース価格情報。

沿革・撤退事業

出来事
1988年9月26日 大阪市にて株式会社インターネット創業。代表取締役に村上昇就任。カモンミュージック設立メンバーの経験を基に独立。パソコン通信時代に「ネットが中心になる」という先読みから社名を決定。
1991年 PC-9801 向け作曲ソフト「Singer Song Writer」初版リリース。MIDI シーケンサーと楽譜表示を統合した初心者向けアレンジソフト。
1994〜1995年 Windows 3.1 対応版 SSW をリリース、Mac 版も並行展開。PC-9801 からの移行に成功した数少ない DTM ソフトとして業界で評価される。
1999年 波形編集ソフト「Sound it! 2.0」リリース。DAW 開発への基盤整備。
2008年 動画制作ソフト「ニコニコムービーメーカー」リリース (ドワンゴと協業)。VOCALOID 2 「がくっぽいど」を7月31日発売。GACKT の声を元に作成した最初の VOCALOID 製品で同社の歌声合成事業への参入となる。
2009年6月26日 VOCALOID 2「Megpoid (GUMI)」発売。声優・中島愛の声を元に作成。以後、GUMI は同社を代表するキャラクターとなる。ドワンゴとの携帯電話向け MIDI 変換事業も展開。
2010年 VOCALOID 2「Lily」(エイベックス・マネジメントと共同開発) 発売。「がちゃっぽいど」リリース。SSW 9 Professional / Standard リリース (SSW シリーズ最終メジャー番号)。
2011〜2013年 VOCALOID 3「Megpoid」「CUL」「結月ゆかり」等を次々リリース。VOCALOID 事業が売上の約 40% を占めるピーク期。
2012年11月9日 Singer Song Writer 10 Professional / Standard リリース。後継 DAW 「ABILITY」への過渡期製品。
2014年6月19日 「ABILITY Pro」「ABILITY」発売。SSW の後継 DAW として創業 25 周年を機に製品名を刷新。エントリー向け SSW Lite/Start シリーズは旧ブランドを維持。
2016年7月30日 「音街ウナ」VOCALOID4 として発売。CV は田中あいみ。MTK 企画のキャラクター。
2017年 「音街ウナ Talk EX」(VOICEROID 系読み上げ) 発売。
2018年9月26日 創業 30 周年。
2020年12月11日 「VOICEROID2 音街ウナ」販売開始。
2022〜2023年 Synthesizer V AI 版「Megpoid」「音街ウナ」「花響 琴」を順次リリース。Dreamtonics の SynthV エンジンを採用し、AI 歌唱への移行を推進。
2025年2月20日 「A.I.VOICE2 音街ウナ」販売開始 (エーアイ社エンジン採用)。
2025年9月12日 「Synthesizer V 2 AI Megpoid」「同 音街ウナ」「同 花響 琴」3製品を同時発売。
2026年3月31日 「音街ウナ Talk EX」アクティベーション終了予定。

撤退・休止事業: - Mac 版 Singer Song Writer / Sound it!: 2000年代後半から順次縮小、2014年ごろ事実上終息。市場シェア低下が理由。 - ニコニコムービーメーカー: ドワンゴとの協業製品、ニコニコ動画の衰退とともに実質終息。後続リリースなし。 - がくっぽいど GACKT 版: VOCALOID4 世代 (2015年) 以降の新製品展開なし。事実上の終了。 - 音街ウナ Talk EX: 2026年3月末にアクティベーション終了。A.I.VOICE2 版への移行措置として告知済み。

主要メンバー

役職 氏名
代表取締役 村上昇 (Murakami Noboru)
取締役 石田俊輔

村上昇は 1988年の創業から一貫して代表を務めるファウンダー。カモンミュージック (DTM 黎明期の競合) の設立メンバー経験者であり、PC-9801 時代から音楽ソフト開発に携わる業界最長老クラスの経営者。X (旧 Twitter) アカウント (@noboru1963) で製品情報を自ら発信することでも知られる。

CTO・エンジニア陣の氏名は公開情報では確認できない。

ピッチ・資金調達履歴

外部資金調達 (VC/エンジェル) の記録は公開情報として確認できない。ICC・IVS・B Dash 等への登壇歴も未確認。

1988年創業以来、自己資本経営を継続している模様。ディアゴスティーニとの企画タイアップ (2008年)、Roland とのバンドル契約 (1990〜2000年代) 等の業務提携が事業拡大手段であり、外部エクイティではなく製品収益で成長してきた典型的なライフスタイル・ビジネス形態。

関連プロダクト

製品名 カテゴリ 概要
ABILITY DAW SSW 後継のプロ/スタンダード向け音楽制作ソフト。マルチトラック録音・MIDI・オーディオ編集を統合。
Singer Song Writer DAW (エントリー) 1991年初版の看板製品。Lite/Start/Loops 等のエントリー版を現在も継続販売。
Sound it! 波形編集 ハイレゾ対応のオーディオ録音・編集ソフト。Sonnox ノイズリダクション搭載。
Megpoid (GUMI) 歌声合成 声優・中島愛の声を元にした歌声 DB。VOCALOID2〜6、Synthesizer V / V2 AI と世代を重ねる同社最長寿キャラクター。
音街ウナ 歌声合成 / TTS 田中あいみの声を元にしたキャラクター。VOCALOID4、Synthesizer V/V2 AI (歌声)、VOICEROID2、A.I.VOICE2 (読み上げ) と複数エンジンで展開。
花響 琴 (Hibiki Koto) 歌声合成 立花れおんの声を元にした Synthesizer V 専用歌声 DB。2022年リリース。
がくっぽいど (Camui Gackpo) 歌声合成 GACKT の声を元にした歌声 DB。VOCALOID2〜4 まで展開、現在は実質終息。
VOICEROID2 音街ウナ TTS AHS エンジンを利用した音街ウナの文章読み上げ製品 (2020年〜)。
A.I.VOICE2 音街ウナ TTS エーアイ社 AITalk エンジンを採用した次世代読み上げ製品 (2025年〜)。
Digital Sound Cleaner 音声編集 アナログ音源デジタル化・ノイズ除去ツール。

uPiper との位置関係

判定: 補完的競合 (異なる市場層で一部重複)

株式会社インターネットの事業は、PC 向けパッケージ販売の歌声合成 (SynthV/VOCALOID) と DAW が中核であり、uPiper (StyleTTS2/Kokoro 系日本語 TTS + Unity SDK、モバイルオンデバイス推論) とは技術スタック・配布チャネル・用途が大きく異なる。

最大の相違点はエンジン所有の有無である。同社はヤマハ VOCALOID・Dreamtonics SynthV・エーアイ AITalk と、いずれもサードパーティエンジンのライセンシーとして声優音声を製品化しており、独自推論エンジンを保有しない。対して uPiper はオンデバイス軽量推論エンジン自体を Unity SDK として提供するため、ゲーム/アプリデベロッパーが直接組み込む B2B 設計である。

重複する接点は「日本語合成音声」という上位カテゴリのみ。ただし同社の音街ウナ・Megpoid キャラクター IP は高い知名度と二次創作コミュニティを持つため、仮に uPiper がキャラクター音声対応の組み込みニーズ (ゲーム内 NPC 音声等) を取りに行く場合、同社 IP との協業またはキャラクターライセンス競合が生じ得る。差別化フックとして uPiper が訴求すべきは「エンジンの軽量オンデバイス動作・Unity 組み込み容易性・キャラクター非依存の汎用 TTS」であり、同社の「タレント音声 IP × PC パッケージ販売」モデルとは目指すバリューチェーンが根本的に異なる。