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株式会社ヒロシバ (Hiroshiba Inc.)

1 行サマリー

OSS 日本語 TTS「VOICEVOX」の開発・権利管理主体で、ヒホ氏が個人から法人へと移行を進める非公開スタートアップ。

ビジネスモデル

株式会社ヒロシバは、無料オープンソースの日本語 TTS ソフトウェア「VOICEVOX」を中核に事業を構成する。収益化の主軸は複数ある。

第一に、ソフトウェア・エンジン・コアライブラリを OSS として無償提供しつつ、キャラクター音声ライブラリ側に知的財産権を持つ権利者との収益分配モデルを採用。第二に、クレジット表記省略を希望する法人向けに、各キャラクター権利者経由の有償ライセンス販売(公開情報では一部キャラクターで 40 万円超)がある。第三に、pixivFANBOX による開発者支援(月次サブスク)で開発継続資金を確保する。

2026 年 2 月にはさくらインターネットが「さくらの AI Engine」に VOICEVOX エンジンを採用し TTS API を提供開始。OpenAI 互換 API 形式でのライセンス供与が商業化の新軸となりつつある。VOICEVOX ENGINE は LGPL-3.0 ライセンスで OSS 公開されており、エンジン組み込み型の法人利用が拡大中。全体としては OSS コア + キャラクター IP ライセンス + クラウド API 採用の混合型(mixed)ビジネスモデルといえる。

売上・利益・財務ハイライト

財務情報は非公開であり、有価証券報告書・決算短信等の公開資料は存在しない(非上場)。
売上・利益はいずれも 非公開

※当方推定:pixivFANBOX 経由の個人支援収入は数十万〜数百万円/年規模と推定されるが裏付けなし。法人向けキャラクターライセンス収入は少数契約に留まる可能性が高く、主要収入源となるには至っていないと推測される。さくらインターネットとの API 提携(2026 年 2 月)が本格的な法人収益化の端緒となり得るが、契約金額・ロイヤルティ条件は非公開。

沿革・撤退事業

年月 事項
〜2021 年以前 ヒホ氏(Hiroshiba Kazuyuki)、ドワンゴ(Dwango Media Village)エンジニアとして機械学習・音声変換技術を研究。AI ボイスチェンジャー「Seiren Voice」、深層学習声質変換ライブラリ「Yukarin」などを開発・公開。
2021 年 8 月 1 日 日本語 TTS ソフトウェア「VOICEVOX」を個人プロジェクトとして無料公開。深層学習によるキャラクター音声合成・字単位 intonation 調整が特徴。
2021 年 11 月 VOICEVOX ENGINE(音声合成エンジン)を LGPL-3.0 でオープンソース公開。
2022 年 VOICEVOX CORE(組み込みライブラリ)公開。キャラクター数を継続拡張(春日部つむぎ、波音リツ、九州そら等)。
2022 年 3 月 VOICEVOX Nemo(キャラクターなし汎用音声ライブラリ)発表。
2022 年 12 月 VOICEVOX Song(歌声合成)機能のロードマップ公表。
2023 年 VOICEVOX Nemo 正式リリース。法人向けに規約がシンプルな汎用音声ライブラリとして推奨。
2024 年 1 月 VOICEVOX Song 機能(歌声合成)プロトタイプリリース。ハミング機能実装。
2025 年 10 月 31 日 バージョン 0.25.0 リリース(最新公開版)。45 以上のキャラクターに対応。
2026 年 2 月 26 日 さくらインターネット「さくらの AI Engine」が VOICEVOX エンジンを採用した TTS API を提供開始(OpenAI 互換形式)。
〜現在 「株式会社ヒロシバ」として法人名義でドメイン hihosiba.com を運営(詳細は非公開)。ドメインは 2026 年 6 月時点で接続不能を確認。

撤退・休止事業: 特定の撤退事業は確認されていない。Seiren Voice はドワンゴ主体サービスとして独立しており、ヒホ氏の個人・法人事業からは分離されている。

主要メンバー

役職 氏名
代表・開発者 ヒホ(Hiroshiba Kazuyuki / ヒロシバ和之)。X (旧 Twitter) アカウント: @hiho_karuta。元 Dwango Media Village エンジニア。

その他の役員・VP 情報は非公開。従業員数・組織体制の公開情報なし。

ピッチ・資金調達履歴

公開されているピッチ登壇記録(ICC / IVS / B Dash 等)は確認されていない。
外部資本調達(シード / シリーズ等)の公開記録なし。

資金調達の代替手段として、pixivFANBOX による月次クリエイター支援を継続受け取り中(金額・支援者数は非公開)。さくらインターネット等との商業ライセンス契約が事実上の収益基盤となる可能性がある。

IPO 計画の公表なし。

関連プロダクト

プロダクト 概要
VOICEVOX 無料テキスト読み上げ・歌声合成ソフトウェア。Windows / Mac / Linux 対応。45 以上のキャラクター音声。商用・非商用ともにクレジット表記条件で無料利用可。
VOICEVOX ENGINE VOICEVOX のバックエンド音声合成エンジン。Python 製。LGPL-3.0 でオープンソース公開。REST API でアプリ組み込み可能。
VOICEVOX CORE アプリへの埋め込み向けコアライブラリ。Rust 製。オフラインオンデバイス推論対応。
VOICEVOX Nemo キャラクターなし汎用音声ライブラリ。法人利用に適したシンプルライセンス構成。

uPiper との位置関係

競合(部分的) かつ 技術的補完 の関係にある。

uPiper は StyleTTS2 / Kokoro ベースの軽量日本語特化 TTS に Unity SDK を組み合わせたモバイルオンデバイス推論特化プロダクトで、lifestyle business 形態をとる。一方、VOICEVOX / 株式会社ヒロシバはデスクトップ向け GUI アプリとオープンな REST API エンジンを中心に展開し、キャラクター IP の多様性と完成度の高いエディタ UI を差別化軸とする。

共通点はオンデバイス(VOICEVOX CORE)推論可能な点と、日本語特化 TTS というセグメントの重複にあるが、ターゲット層は異なる。VOICEVOX は CGM(ニコニコ / YouTube 動画制作)・エンタープライズ API 利用者向けで、キャラクター IP が集客の核。uPiper はゲーム開発者・スマートフォンアプリ組み込みが主戦場で、Unity SDK と軽量推論が差別化フック。VOICEVOX の CORE ライブラリを参照実装として活用しながら uPiper が差別化を図る「技術的補完」の構図もあり得る。価格面では両者とも低価格・無料 OSS を志向する点で競合圧力はあるが、IP 資産(キャラクター)の有無と Unity 統合の有無が明確な差別化境界線となる。