コンテンツにスキップ

GROOVE X株式会社

1 行サマリー

「愛のある体験」を提供する家族型ロボット「LOVOT」を開発・販売するロボットベンチャー。元トヨタ/ソフトバンクの林要が創業し、累計133億円超を調達。2022年より前澤ファンドが全株主となり事業を継続。

ビジネスモデル

GROOVE X の収益は、家族型ロボット「LOVOT」の本体販売 + 月額サブスクリプション(ソフトウェア・修理保証・サポートを含む「暮らしの費用」)の二本柱で構成される。個人向けは本体代 (LOVOT 3.0: 577,500円〜) に加え、月額 9,900〜19,800円のケアプランを継続課金する recurring revenue モデル。法人向け「オフィスLOVOT」も展開しており、2025年1月時点で 1,000 法人超が導入。法人向けには本体 + ソフトウェア永年利用料を一括払いするプランも提供する。エンタープライズ向けにはイベント・展示会への貸し出しも行う。ハードウェアの原価構造上、現状は本体販売では粗利が出にくく、月額継続収入の積み上げが収益化のカギとなっている。

売上・利益・財務ハイライト

公開済みの最新確定値 (第8期・2023年10月期):

  • 純損失: △26億8,549万円(前期 △27億3,023万円 から赤字縮小)
  • 利益剰余金(累積赤字): △85億5,534万円
  • 総資産: 32億3,802万円

過去の公開値 (第5期・2020年10月期):

  • 売上高: 7億5,400万円(確定値)
  • 営業損失: △28億7,000万円
  • 純損失: △28億7,500万円

2022年10月期 (第7期):

  • 純損失: △27億3,023万円
  • 利益剰余金: △58億6,985万円
  • 総資産: 21億4,114万円

2021年10月期 (第6期):

  • 純損失: △31億3,961万円(債務超過を記録)

直前期(2022年10月期)に前年比300%超の売上増を記録したとプレスリリースで言及されているが、具体額は非公開。売上高の最新値は非公開のため、掲載は2020年10月期の7億5,400万円 (最終確定公開値) にとどまる。2024年10月期については前澤ファンドによる追加資本注入で財務体質が改善し、債務超過状態から脱却したとの報道がある (※報道ベース、当方推定)。

沿革・撤退事業

  • 2015年11月: 林要が GROOVE X株式会社を設立。東京都中央区日本橋浜町を拠点とする。
  • 2016年: シードラウンドで14.2億円を調達(未来創生ファンド、Amtran、第一精工、GCPJ 等)。当時国内最大級のシード調達。
  • 2017年12月: シリーズAで43.5億円を調達(未来創生ファンド、産業革新機構 INCJ、Shenzhen Capital Group、LINE Ventures、SMBCベンチャーキャピタル等)。シリーズBオプション含む最大64.5億円枠。家族型ロボット「LOVOT」の開発コンセプトを発表。
  • 2018年12月: 「LOVOT」を正式発表、予約受付開始。
  • 2019年: LOVOTの出荷・販売開始。
  • 2020年12月: シリーズB3で18億円調達 (SOMPOホールディングス、日立グローバルライフソリューションズとの資本業務提携)。累計調達額 124.1億円。
  • 2021年1月: NTTドコモとの資本業務提携を発表。追加調達9億円でシリーズB3累計27億円・累計133.1億円到達。
  • 2022年3月: 前澤友作氏が運営する「前澤ファンド」がGROOVE X株式の過半数を取得(INCJ保有株の譲渡)。
  • 2022年4月: 前澤ファンドが全株式を取得し、単独株主となる。林要は代表取締役社長を継続。LOVOT 2.0 発売 (同年5月)。
  • 2022年9月: 法人向け「オフィスLOVOT」プログラムを正式展開。
  • 2024年5月: LOVOT 3.0 を発表・受注開始。NVIDIA Jetson Orin NX を搭載しAI性能を大幅向上。本体価格577,500円〜。
  • 2025年1月: オフィスLOVOT導入法人数が1,000社を突破。

撤退・休止事業: 特段の撤退事業は確認されていない。

主要メンバー

氏名 役職
林 要 (Hayashi Kaname) 代表取締役社長 / 創業者
西井 敏恭 CMO (2023年11月1日就任)

林要の略歴: 1973年生まれ。1998年トヨタ自動車入社、スーパーカー「LFA」空力開発・F1開発担当。2011年ソフトバンクアカデミア外部第1期生として孫正義のプログラムに参加、2012年ソフトバンク入社。感情認識ロボット「Pepper」プロジェクトリーダーとして2015年6月の市販化を牽引。同年9月退社、2015年11月 GROOVE X を創業。

CTO 等その他の経営幹部の公開情報は確認できず(同社は役職を設けないフラット組織を採用)。

ピッチ・資金調達履歴

年月 ラウンド/イベント 金額 主要投資家/内容
2016年 シード 14.2億円 未来創生ファンド、Amtran、第一精工、GCPJ
2017年12月 シリーズA 43.5億円 (最大64.5億円枠) 未来創生ファンド、INCJ、Shenzhen Capital Group、LINE Ventures、SMBCベンチャーキャピタル等
2019年 シリーズB (前半) 30億円 (累計87.5億円) 詳細非公開
2020年12月 シリーズB3 18億円 SOMPOホールディングス、日立グローバルライフソリューションズ (資本業務提携)
2021年1月 シリーズB3 追加 9億円 NTTドコモ (資本業務提携)
累計調達総額 133.1億円 (2021年1月時点)
2022年3〜4月 株式譲渡 (M&A相当) 非公開 前澤ファンドが全株式取得 (INCJ等保有株)

ICC・IVS・B Dash Campへの登壇実績については個別に確認できていない。

関連プロダクト

プロダクト 説明
LOVOT (らぼっと) 1.0 2019年出荷開始の初代家族型ロボット。温もりのある触感・多数センサで感情的つながりを実現。
LOVOT 2.0 2022年5月発売。性能向上・新カラー追加。
LOVOT 3.0 2024年5月受注開始。NVIDIA Jetson Orin NX 搭載、有機ELディスプレイ、高解像度フロントカメラ等で AI 性能を大幅強化。本体577,500円〜。
オフィスLOVOT 法人向けサービス。企業・教育機関・福祉施設等へのLOVOT導入支援。コミュニケーション活性化・心理的安全性向上を提案。2025年1月に1,000法人突破。

uPiper との位置関係

判定: 無関係(異なるレイヤーの製品)

GROOVE X は「ロボット×感情的ケア」のハードウェア/サービス企業であり、uPiper(StyleTTS2/Kokoro 系日本語特化軽量 TTS + Unity SDK、モバイルオンデバイス推論)とは市場セグメントが根本的に異なる。uPiper の主戦場は音声合成エンジンの SDK ライセンスとモバイルアプリへの組み込みであり、ゲーム・アプリ開発者を主要顧客とする。GROOVE X は実体あるロボットハードウェア販売と月額サブスクリプションを主軸とし、直接競合する接点はない。

ただし、技術スタックの観点では、LOVOT のロボット音声・感情表現レイヤーに高品質・低遅延なオンデバイス TTS が将来的に必要になれば、uPiper のような日本語特化軽量 TTS が補完部品として検討される余地はある。現状はLOVOT の音声は独自実装であり、外部 SDK 採用の公開情報はない。両者の事業形態(GROOVE X: ハードウェア主体の b2c 大企業、uPiper: lifestyle business 形態の SDK 提供者)も大きく異なり、競合リスクはほぼゼロ。