株式会社CRI・ミドルウェア¶
1 行サマリー¶
ゲーム向け音声・映像ミドルウェア「CRIWARE」で国内シェア首位、累計1万ライセンス超を誇るゲームサウンドSDK専業の上場企業。
ビジネスモデル¶
主要収益源は自社開発ミドルウェアブランド「CRIWARE」のライセンス販売および保守・サポートフィーであり、ゲームタイトルごとの許諾契約(初期費用+売上連動ロイヤリティ)が中核となるlicense_SDK型ビジネスモデルを採る。
事業セグメントはゲーム事業(CRIWARE for Games)とエンタープライズ事業に大別され、後者にはモビリティ(自動車・二輪車向けHMIミドルウェア「CRI Glassco」)、カラオケ・産業機器向け音声ソリューション、Webサービス向け画像軽量化(OPTPiX)、オンラインコミュニケーション(ボイスチャット)、組込みシステムが含まれる。
ゲーム事業は国内外のゲームデベロッパー・パブリッシャーを顧客とし、PlayStation/Nintendo Switch/Xbox等のマルチプラットフォーム対応が強み。エンタープライズ事業ではモビリティ分野が急成長中であり、CRI Glasscoの二輪車市場への採用拡大が2025年度業績を牽引した。
受託開発・サウンドプロダクション(グループ会社ツーファイブ)も収益に寄与するが、ライセンス収入の経常的・高マージン特性が同社の収益構造を安定させている。
売上・利益・財務ハイライト¶
2025年9月期(第25期)連結実績(有報・決算短信より)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 34億4,858万円(前期比+8.9%) |
| 営業利益 | 5億5,438万円(前期比+50.5%) |
| 経常利益 | 5億6,677万円(前期比+47.8%) |
| 親会社株主帰属当期純利益 | 4億2,071万円(前期比+38.2%) |
セグメント別では、ゲーム事業が売上18億702万円(+7.8%)、エンタープライズ事業が売上16億4,156万円(+10.1%)で均衡成長。エンタープライズのセグメント利益は3億6,817万円と前期比+46.3%増と高成長。
2026年9月期通期予想
売上高39億1,000万円(+13.4%)、営業利益6億円(+8.2%)、純利益4億6,200万円(+9.8%)。ただし2026年9月期第2四半期中間期(2025年10月〜2026年3月)は減収減益(売上18.49億円)であり、先行投資とエンタープライズ事業の特需剥落を一因としている。
資本金は784百万円。連結従業員173名(2025年9月末現在)。1株配当は2025年9月期25円、2026年9月期予想27円。
沿革・撤退事業¶
- 1983年 CSK総合研究所(CSK Research Institute)設立。AI・音声・映像技術を研究。
- 1989年 世界初のCD-ROM内蔵PCである富士通FM-TOWNSの開発に貢献。
- 1996年 セガサターン向けにCRI ADX・CRI Sofdecを提供開始。ゲームミドルウェア事業の原点。
- 2001年8月 CSKグループ(セガ含む)からマルチプラットフォーム化推進のため独立し「株式会社CRI・ミドルウェア」設立。PlayStation 2/GameCube/Xbox向けミドルウェアを即日展開。
- 2004年5月 従業員買収(EBO)により資本独立。
- 2005年 社名を現行の「CRI・ミドルウェア」に変更。CRIWAREライセンス数1,000本突破。
- 2006年 米国子会社CRI Middleware, Inc.(カリフォルニア)設立。製品群の統一ブランド「CRIWARE」を立ち上げ。
- 2009年 iPhoneミドルウェア提供開始。ライセンス数2,000本突破。
- 2014年11月27日 東証マザーズ上場(証券コード3698)。
- 2018年 画像最適化ツール「OPTPiX」を手掛けるウェブテクノロジおよびウェブテクノロジ・コムを完全子会社化(買収)。
- 2019年 ゲームサウンドプロダクション会社ツーファイブの全株式取得、完全子会社化。
- 2021年10月 ウェブテクノロジをCRI・ミドルウェアに吸収合併(OPTPiX事業を統合、ウェブテクノロジは解散)。技術開発・営業の一体化による収益力強化が目的。
- 2023年 CRIWARE for Mobilityの車両搭載数が200万台超。
- 2025年 CRI Glassco搭載車両が四半期で30万台突破(二輪車向けが主力)。
- 2026年2月 東証スタンダード市場へ移行(旧グロース市場から)。
撤退・休止事業
ウェブテクノロジ子会社は2021年10月にCRI・ミドルウェアへ吸収合併され解散。OPTPiX製品群はブランドとして存続しており「撤退」ではなく「統合」に相当する。公開情報の範囲では、主要事業からの完全撤退事例は確認されていない。
主要メンバー¶
| 氏名 | 役職 |
|---|---|
| 押見 正雄 | 代表取締役社長 |
| 櫻井 敦史 | 代表取締役専務 |
| 鈴木 正彦 | 取締役会長 |
| 及川 直昭 | 常務執行役員 |
| 有本 貴裕 | 執行役員 |
| 平瀬 智進 | 執行役員 |
| 伊藤 一彦 | 執行役員 |
CTO相当の公式肩書きは公開情報から確認できず。押見社長は長年ゲーム音声・ミドルウェア業界をけん引してきた経営者で、鈴木会長はCSK研究所時代からの創業期メンバー。
ピッチ・資金調達履歴¶
- 2004年5月 従業員買収(EBO)による資本独立。外部VCからの調達記録なし(非公開)。
- 2014年11月27日 東証マザーズにIPO(証券コード3698)。上場直後の株価は6,773円(2014年12月2日)が高値。公募増資の詳細金額は非公開。
- 2026年2月 東証スタンダード市場へ市場区分変更。
創業期からVC等からの外部資金調達履歴はCrunchbase・Dealroom等の公開記録に存在せず、自己資本による内部成長型で上場に至ったと推測される。ICC/IVS/B Dash等への登壇記録も公開情報では確認できない。
関連プロダクト¶
| プロダクト | 概要 |
|---|---|
| CRI ADX / ADX2 | 国内シェアNo.1のゲーム向けサウンドミドルウェア。独自HCAコーデックで音声を最大1/16圧縮、累計1万ライセンス超。iOS/Android/PS4・5/Switch/Xbox等マルチプラットフォーム対応。 |
| CRI Sofdec / Sofdec2 | ゲーム向けムービー再生ミドルウェア。VP9コーデック対応の動画デコーダー。 |
| CRIWARE | CRI ADX・Sofdecを含む全ミドルウェア製品の統一ブランド名。採用タイトル8,220本超(2024年3月時点)。 |
| CRI Glassco | 車載デジタルメーター(スピードメーター等)向けHMI描画ソフトウェア。二輪車市場で急拡大、2025年Q1に搭載車両数が四半期30万台突破。 |
| CRIWARE for Mobility | 車載向け音声・映像・グラフィクス統合ミドルウェア。搭載車両200万台超(2023年)。 |
| OPTPiX | 画像・動画最適化ツール群。旧ウェブテクノロジが開発し2021年吸収合併により統合。Webサービス/EC向けの画像軽量化(SmartJPEG等)、2Dアニメーション作成ツール(SpriteStudio)を含む。 |
| CRI ADX LE | インディーゲーム開発者向け無償版サウンドミドルウェア。2013年より提供、2025年8月末で世界7.2万ダウンロード超。Nintendo Switch対応済み。 |
| CRI LiveAct | ライブ/オンラインコミュニケーション向け音声ソリューション。 |
uPiper との位置関係¶
判定: 補完(部分的)/ 実質的に無関係(重複なし)
CRI・ミドルウェアの中核事業であるCRI ADX/CRIWAREは「既存の音声アセットをゲームエンジン上でリアルタイム再生・圧縮・インタラクティブ制御するサウンドミドルウェア」であり、TTSエンジンそのものではない。音声を「生成」するのではなく「再生・管理・圧縮」する領域に特化している。
uPiper(StyleTTS2/Kokoro系の日本語特化軽量TTSエンジン+Unity SDK)が担う「テキストから音声を合成してデバイス上で推論する」機能はCRIWAREのスコープ外であり、競合関係にない。
補完シナリオとしては、uPiperが生成したTTS音声ファイルをゲーム内でCRI ADXが圧縮・ストリーム再生するという組み合わせが技術的に成立する。ゲームNPCの台詞をuPiperでオンデバイス生成し、その出力をADXの音声ストリームとして流す構成では、uPiperが「音声生成レイヤー」、CRI ADXが「音声配信・制御レイヤー」として役割分担できる。
差別化フックとして、uPiperはCRI ADXを採用済みの大手ゲームスタジオに対し「既存のCRIWAREパイプラインを維持しながらオンデバイスTTSを追加できる軽量モジュール」として提案でき、競合ではなく拡張コンポーネントとして訴求するポジショニングが有効である。